2月2日にリリースされたスマホゲー、ファイアーエンブレムヒーローズで「ランダム型アイテム提供方式」が話題になっていますが、あれはいわゆるガチャの正式な表現でした。
「ランダム型アイテム提供方式」はいわゆるガチャだが、JOGAの定める表現。「ガチャ」は商標登録されている
2月2日に任天堂初となる基本プレイ無料アイテム課金制のスマホゲーム「ファイアーエンブレムヒーローズ」が配信開始となりました。
任天堂がスマホゲーム市場へと進撃していく様は何かと話題になりますが、今回は特に注目を集めていると思います。
そのFEHで真っ先に槍玉に挙げられたのが「ランダム型アイテム提供方式」という文言。
一部ブログなどで取り上げられたのは、任天堂第77期(2017年3月期)経営方針説明会/第3四半期決算説明会資料の中で使われていたもので、該当する部分は次の箇所。
キャラクターは、ランダム型アイテム提供方式で入手します。
引用元:第77期(2017年3月期)経営方針説明会/第3四半期決算説明会資料
これはいわゆるガチャのことを指しているのですが、「結局ガチャじゃないか」と一部で批判されていました。
どうやらガチャを実装するのにガチャという言葉を使わないあたりが屁理屈っぽくて気に入らないということらしいです。
確かにこの部分だけを勘ぐって見てしまうと、その心情も理解できなくはありません。
「ガチャ」は商標登録されている。企業が勝手に使ったりできない事情
今では広く一般的に利用されてしまっている「ガチャ」。この言葉、実は商標登録されています。いったいどこが登録しているのでしょうか、まずはそこから見ていきます。
独立行政法人工業所有権情報・研修館が提供する特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」にて登録されている商標などを検索することができます。そこで「ガチャ」という単語を検索してみたところ、「ガチャ」という商標を登録している者の氏名又は名称部分は「NHN comico株式会社」となっていました。
他にも類似する商標がたくさんありますが、登録時期や指定商品・指定役務からみて、オンラインゲームにおけるガチャの商標を持っているのは「NHN comico株式会社」とみてとれます。
NHNという名前を聞いて「あっ……(察し)」となる方はなかなかネットゲーム事情にお詳しいはず。韓国最大のインターネットサービス会社「ネイバー」関連の企業です。
NHN comico Corporation)は、日本の企業。韓国最大のインターネットサービス会社「ネイバー」の子会社だったが、2013年母会社であるNHNがネイバー株式会社とNHNエンタテインメント株式会社に会社分割した後にNHNエンタテインメントの子会社[1]になった。
引用元:Wikipedia
ここまでで私たちが一般的に使っているオンラインゲームでの「ガチャ」という単語は、商標登録されているものだということがわかりました。
もちろん他の企業などが勝手に使うことはできず、使う場合は使用料を支払わなければなりません。
ゲームサービスによっては、たまに「ガシャ」だとか微妙に違う名前になっているわけですが、商標回避のためだったんですね。
「ランダム型アイテム提供方式」はどこから出てきた言葉?日本オンラインゲーム協会「JOGA」が定める正式名称
では今回任天堂が使った「ランダム型アイテム提供方式」という言葉はどこから出てきたのでしょうか。あまり聞かない単語なので任天堂が作ったのでは?と思う方も多いかもしれませんが、実は違います。
意味はいわゆる「ガチャ」のことで合っているのですが、この仕組みのことを「ランダム型アイテム提供方式」と定めているのは一般社団法人日本オンラインゲーム協会「Japan Online Game Association(略称:JOGA) 」です。
これはJOGAが公開している「ランダム型アイテム提供方式を利用したアイテム販売における表示および運営ガイドライン」という資料の中でも確認することができます。
1)本ガイドラインにおいては、各種用語の定義は以下に掲げるとおりとする。
□a.ランダム型アイテム提供方式一般的には「ガチャ」と呼ばれる、文字、絵、符号等を電磁的に表示した、オンラインゲーム上で使用できるキャラクター、アイテム等(以下、アイテム等)を、偶然性を利用してアイテム等の種類が決まる方法によって提供する方式をいう。
引用元:JOGAガイドライン
ガチャの概念自体を具体的に表現すると「ランダム型アイテム提供方式」となるので、商標などに縛られないいわば正式名称ということになるでしょう。
それに則して説明資料用に任天堂が「ランダム型アイテム提供方式」と表記していただけに過ぎず、決して任天堂がガチャのイメージ戦略的に言い換えただとかそういった問題ではありませんでした。
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