巷で話題になっているマストドン(Mastodon)なる新しいSNSについてです。Twitterとどのように違うのでしょうか。使い方や注意点をみてみましょう。
マストドンの基本と違い。Twitterと似ているが一極集中ではなく分散型で繋がるのがコンセプトとなっている
最近話題になっているMastodon(マストドン)について、その概要などを見ていきます。
マストドンはオープンソースで開発されており、ドイツに住むEugen Rochko(オイゲン・ロッコ)という人物によって作られたTwitterライクなソーシャルネットワーキングサービスです。なんとこのロッコさんという方、24歳という若さ!
さて、このマストドンはツイッターライクというだけあってよく似ています。
基本的に短文投稿ができるミニブログで、フォローなどをすることによってその相手の投稿をタイムラインに表示できるという部分に変わりはありません。
ではツイッターとの違いはどこにあるのでしょうか。
500文字まで投稿できる「トゥート」
ツイッターでは投稿することを「ツイート」と呼びますが、マストドンは「トゥート」と呼びます。
tweet(ツイート)が「小鳥の鳴き声やさえずり」を意味するのに対して、toot(トゥート)は「ゾウなどが鳴く」ことを意味しています。イメージ的には吼えるが適切でしょう。
吠えるだけあって、1投稿あたりの文字数も500文字までトゥートできるので、ツイッターの140文字じゃ足りないと思っていた方には嬉しい仕様です。
2バイト文字(日本語など)も1文字換算ですので、1枚の原稿用紙に収まりきらない内容でも投稿することができちゃいます。
マストドンは小さなインスタンスの集合体。連邦を組むことで分散型の巨大なネットワークになる
マストドンとツイッターの決定的な違いが「分散型SNS」である点です。
マストドン全体を構成するサーバはそれぞれ「インスタンス」と呼ばれ、ノード(中継点)としても機能します。
これはツイッターのように一極集中型のサービスに属するのではなく、マストドン連合の中にあるインスタンスのひとつに属するということになります。
MastodonにはLocal(ローカル)とFederated(連邦)の二種類のタイムラインがありますが、自分の所属しているインスタンスのトゥートがローカルに表示され、そのインスタンスと繋がった連邦のインスタンス上のトゥートがフェデレーテッド(連邦)に表示されるという仕組み。
……おそらくこのあたりで、
「わからん……、ぜんぜんわからん」
となるかもしれません。この部分がマストドンのもっとも特徴的な部分なのですがいまいちイメージし辛いものですよね。
ではちょっとゲーマー的に例えてみましょう。もしMMORPGなどのネットゲームを良く遊んでいるのであれば「ギルド」と「ユニオン」をイメージしてみてください。
インスタンスはギルドに相当します。同じ趣向や目的によって集まった比較的小規模なあつまりです。インスタンスの管理者(サーバー管理者)はギルドマスターといったところでしょうか。
例えば100人のギルドAがあったとして、あなたはここに属しているとします。このギルド内で行われたチャットはギルドチャットとしてメンバー全員に表示されますよね。
次にこのギルドと仲の良いギルドB(200人)が同盟関係になったとします。そうするとギルドAとBを合わせた合計300人のユニオンができたことになります。
このユニオン内で行われた会話はユニオンチャットとして300人のメンバー全員に表示されることになります。こう考えれば、連邦はユニオンに相当します。
これがどんどん繋がって大きくなっていくことで、とてつもなく大きなネットワークが誕生するというイメージです。
マストドンの使い方。インスタンス間でのやり取り可能、どのサーバでアカウントを作っても垣根を意識しなくて良い
なんとなくマストドンが理解できてきたかもしれませんが、ここで鋭い方は「インスタンスがことなる相手でもフォローしたりできるの?」と疑問に思うはずです。
ここがマストドンのすごいところでもあります。まずは下記の引用ツイートの画像を見てください。
いまTwitterで話題になっている「Mastodon(マストドン)」について纏めてみました。簡単になので間違ってたらスミマセン! #mastodon pic.twitter.com/LStxXpaHqq
— さめあんこ@コミ1【は41b】🦈 (@sameanko) 2017年4月15日
さめあんこさんが描かれたマストドンのまとめですが、とても分かりやすく解説してくださっています。
前述のとおりマストドンのインスタンスはノードとしても機能するので、インスタンス(サーバ)間の垣根を超えることができます。
インスタンス間を跨いだメッセージのやり取りができる
同じインスタンス内にいるメンバーに向けてトゥートする場合は、ツイッターと同様に、
@マークのあとにユーザー名を入れて、その後に伝える内容を入れれば良いだけです。
やり取りしたい相手が別のインスタンスにいる場合は、
このように@ユーザー名の後に続けて@インスタンス名を入力すれば、メッセージを送ることができます。
手紙を出すときのように、□□に住んでる○○さん宛て、といった感じですね!
マストドンはこういった仕組みがあるため、どこのインスタンス(サーバー)にアカウントを作っても、友達とやり取りしたりするのに不便を感じることはほとんどありません。
なので基本的にはMMORPGのネトゲでギルドに入るときのように、目的別のインスタンスにアカウントを作っても良いですし、単純に空いているインスタンスに作っても良いでしょう。
ある意味上級者向け?マストドンのアカウントを作るインスタンスはユーザー側でよく考えよう
マストドンはオープンソースによって開発されているサービスなので、知識があれば誰でもサーバー(インスタンス)を設立することが可能です。
マストドンのインスタンスはギルド、その管理者はギルドマスターという例えを先ほどしましたが、イメージそのまんまといったところでしょう。つまり、誰でもインスタンスの管理者になることができるのです。
これはマストドンのメリットでもあり、デメリットでもあると言えるかもしれません。
というのも、Mastodonのサービス提供を継続するかどうかはそのインスタンスの管理者次第なので、管理者が経済的、意欲的な問題からサービス終了しますとなれば、今までのデータは消滅することになります。
インスタンスは個人の有志によって設立されていることが多いので、企業が提供するような手厚いサポートは得られないこともあるでしょう。
そのため、仕組み上はインスタンスの垣根を意識しなくて良いものの、どこにアカウントを作成するかは重要なポイントなのです。
ある意味上級者向けのサービス?利用者も管理者を見る力が必要
また、サービス継続の有無だけでなく、セキュリティ的な観点も重要です。
もしも悪意あるインスタンスに登録してしまったら、あるいは意図せず流出してしまったら……。そういうケースもあるかもしれません。
マストドンはどのインスタンスを選んでも良いのです。これしかないからではなく、たくさんある中から選ぶことができます。
その際、どんな人が管理してくれているインスタンスなのか、どのような趣旨のインスタンスなのかはもちろん、パスワードの使いまわしはしないなどといった基本的なネットリテラシーも必要になってくるでしょう。
当然これらの問題はマストドンに限らずどこのサービスや企業でも同じことがいえますが、マストドンの性質上、ユーザーはより一層意識しておくべきです。
その上で思ったのは、マストドンはユーザー側にも知識や見る目が要求されるある意味上級者向けのサービスだということ。
大手企業がトップに立って配下に提供されるサービスとは違って、小規模のグループが繋がりあって構成されるネットワークだからこそ、サービスを使う側も「お客様ではなくユーザー」であるという心構えが必要なのかもしれません。
私はこのマストドンの思想はとても素晴らしいものだと思いましたし、早速登録もしました。そしてサービスを提供してくださっている有志の方々には敬意を表します。
日本ではマストドンはまだ話題になり始めた段階で、少々カオスな感じが溢れていますが各インスタンスの管理者、そしてそれに参加するユーザーによって、より良い形にまとまっていってくれたら良いですね!
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