ヘリウム封入HDDとは?精度向上効果、容量増加、低消費電力のメリットはあるが、高価格なのがデメリット

最近良く見るようになった「ヘリウム充填HDD」というハードディスクについてメリットやデメリット、その仕組みなどをみていきます。

ヘリウムでHDDを満たすことで空気抵抗を減らし、読み書き精度向上、容量増加や低消費電力を実現!欠点は価格

HDD(ハードディスクドライブ)はSSDなどに押されつつありますが、まだまだ大容量ストレージとしては主力です。

さて最近「ヘリウム充填HDD」などのワードをよく目にするようになりましたが、ヘリウムHDDは普通のHDDと何が違うのかという点について、原理やメリットデメリットなどをみていきましょう。

空気の代わりにヘリウムを密封、空気抵抗を減らすことで読み取り/書き込み精度や容量増加を実現できる

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引用元:日本電産株式会社

まず従来のHDDについての確認から。その昔、間違った情報として「ハードディスクの内部は真空」というのが出回っていましたが、実際は違います。

通常、HDDには小さな空気穴というものがありHDD内部は外と同じ空気が入っています。というのもHDDは一定の気圧がないと動作しないのです。

この空気の圧力によって磁気ヘッド(読み取ったり書いたりする部分)がディスク上に浮上して、高速で回転するディスクから情報の出し入れを行うわけです。

しかし、HDDがより高速、より大容量になってくるにつれて問題が生じてきました。ディスク自体は数千回転~1万回転という超高速で回転していますので、この回転によって生じる気流の抵抗もかなりのものになってきます。

その抵抗による振動は、精密な動作をするHDDとしては無視できないレベルのもので、記録容量を容易に増やすことができない原因となってきました。

この振動さえ抑えることができれば、もっと容量を増やせるわけですが、前述したように何かしらの気体がなければHDDは動作させることができません。

そこで登場するのが「ヘリウム」です。吸うと声が高くなるので知っている方も多いでしょう。

ヘリウムはその密度が空気に比べて7分の1程度と小さく、気流の抵抗も減らすことができますからHDDの中にヘリウムを充填して密封することで、

  • 読み込み/書き込みの精度が上昇
  • プラッタ(ディスク)をさらに薄くできるので容量増加可能
  • 抵抗減で電流低減=消費電力を抑えられる
  • 静穏性が向上する

これらの非常に大きなメリットが得られるのです。

ヘリウムHDDの欠点はやはり価格。密封する高い技術のため仕方がない部分もある

ヘリウムHDDは良いことずくめ。メリットしかないように思いますが、やはりデメリットとしてはその価格が高価であることがあげられます。

前述したように空気に比べて密度の低いヘリウムはその原子の大きさも比例して小さいので、本当にわずかな隙間からでも容易に漏れ出てしまいます。

そのためにはプレートの高い鋳造技術が必要なのはもちろん、モーターの軸受部分や接着材などから生じるわずかな揮発ガスでHDD内部が汚染されてもいけないので、とても手間のかかる製造工程を踏まなければいけないのです。

こうした理由から、どうしてもヘリウムを封入してあるHDDは値段が高くなってしまうというわけです。非常に高い技術を要するので、その分価格に反映されてしまうのは仕方のないことといえます。

用途としては主にデータセンター向けのものが多いのですが、以前に比べれば随分個人でも手が出しやすい値段になってきてはいます。基本的に付けっ放しを想定するサーバ向けなどでは、静穏性や消費電力などの観点からも魅力的といえます。

今は一般用途だとSSDがどんどん幅を利かせてきていますが、ヘリウムHDDの普及が進んでいってHDDとの関係にどのような変化が出てくるのか、今後が楽しみですね!

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